篠原研究室へようこそ

こちらは京都大学大学院・ 医学研究科・ 遺伝医学講座・ 分子遺伝学分野のホームページです。

お知らせ

2023.10.06

 篠原美都さんが「日本繁殖学会 JRD Outstanding Paper Award」を受賞しました。

  

 この度は名誉ある賞を頂き大変光栄です。この論文はアデノウイルスを用いた卵巣への遺伝子治療で、不妊の雌マウスから産仔の作成に成功したものです。これまで精巣を研究してきた我々研究グループとしては、この度大変苦労して卵巣の論文を完成させましたが、高く評価して頂き大変嬉しく思います。学会の選考委員の先生方と共著者の皆様に心より感謝申し上げます。

(篠原 美都)        


2023.01.30

 夏に打ち上げたGS細胞が半年経って地上に戻って来ました。太平洋のどこかに落ちた後、NASA・JAXA経由で京都まで届きました。最後の最後で積雪のための交通渋滞に巻き込まれずに届いたのは幸運でした。外見上は特に変化がありませんが、果たしてどうなっているのか興味津々です。

  

2022.07.22

 2022年7月16日ドラゴン補給船運用25号機(SpX-25)ミッション。今回はマウスGS細胞を国際宇宙ステーションで保管する実験を行うことになりました。 これまで宇宙環境においてマウス、ラット、イヌを用いた実験により精子形成の異常が起こることが報告されています。驚いたことに宇宙空間では精子の形態異常が30-70%増加し、9割程度の精子減少が起こります。

ところが、この精子形成異常が生殖細胞に対する直接の影響か、ホルモンなどの体細胞を介した間接的な影響なのかは分かっていません。しかしながら、10%程度の精原細胞の減少が報告されていることから、精子形成の源である精原細胞への影響が原因になっている可能性が高いと考えられます。

そこで今回、我々が樹立したGS細胞を用いて、1) 宇宙環境が精子幹細胞の安定性・妊孕性に及ぼす影響を解析し、次に予定している実験では2)精子幹細胞の宇宙環境における保存と操作の可否を明らかにすることとなりました。

今回の実験については地上において凍結したGS細胞を宇宙空間で保存(4, 12, 24, 36ヶ月)したのちに、GS細胞を地上で融解後、精巣へ移植し子孫作成を行う予定です。


2019.03.28  2013年からの5年間領域代表を務めていた新学術領域「生殖細胞のエピゲノムダイナミクスとその制御」(略称生殖エピゲノム班)の取りまとめが終了しました。 領域に関わった諸先生方には感謝申し上げます。1年間余分に成果取りまとめ経費を頂き、今月ちょうど領域の最終成果をまとめたCDを作成しました。 もし興味がある方がありましたらご連絡頂ければお送りします。


2018.04.27 助教の篠原美都さんが一般社団法人日本女性科学者の会から第23回日本女性科学者の会奨励賞を受賞しました。


2016. 9. 26. 助教の田中敬さんがJRD Outstanding Paper Award 2015を受賞しました。
以下、田中さんからのコメントです。

この度は大変光栄な受賞を頂き、誠に嬉しく思っております。本論文は、篠原先生の温かい御指導と小倉先生の多大な御協力により、 採択に至ることができました。これも本領域関係者皆様の御支援の賜物と、心より感謝申し上げます。
  (田中 敬)        

2016. 2. 17-19.新学術領域「生殖細胞のエピゲノムダイナミクスとその制御」の国際シンポジウムを主催しました。


2015. 9. 26. 大学院生の石井慧さんが京都大学医学部若手研究者優秀論文賞を受賞しました。




2015. 7. 24.大学院生の石井慧さんがJRD Outstanding Paper Award 2014を受賞しました。
この度、京都大学・石井(篠原班)がThe JRD Outstanding Paper Award 2014を受賞することが決定しました。

2014年1月にJournal of Reproduction and Development誌から発表された”Cell-cycle-dependent colonization of mouse spermatogonial stem cells after transplantation into seminiferous tubules” という論文が受賞しました。

  この論文は、精細管移植後の精子幹細胞が生着するための要因に細胞周期が関わっている可能性を示唆したものです。精子幹細胞は精細管に移植すると、 本来の精子幹細胞が存在すべき場所(niche)に移動します(このことをhomingと呼んでいます)。以前の研究では移植した細胞の5-10%しか生着することができない ことが知られていましたが、その理由は明らかになっていませんでした。篠原班からは、移植幹細胞におけるclaudinなどtight junction タンパクの発現が homingに必要であることをこれまでに報告してきましたが、本論文では細胞周期を蛍光タンパクにて可視化するFucciシステムを利用し、細胞周期の観点から 移植細胞の性質と移植効率の関係性に迫ることに致しました。その結果、G1期にある精子幹細胞は他のフェーズにある細胞よりGFRA1(精子幹細胞のself-renewal 因子であるGDNFの受容体を構成しているタンパク)の発現が多く、また移植効率が有意に高いことが示されました。また、tight junction (血管精巣パリア) が完成していない幼若マウスの精巣へ移植した場合には、この細胞周期による移植効率の違いが認められなかったことから、G1期の精子幹細胞は血管精巣バリア の通過効率が良いために他のフェーズにある細胞に比べ移植効率が良いと考えられます。
 本論文は篠原班員の多大なるご指導、ご鞭撻を賜り、篠原研究室所属メンバーの心強いお力添えのもと投稿することができました。その結果、このような身に 余る光栄な賞を受賞できましたことを、この場ではございますが、深く感謝申し上げます。

(石井 慧)